携帯端末についての一考察
このまえ出席したある有料の講座での一幕。
始まる直前、受講者の1人の携帯電話が鳴った。
その人は、電話に出ながら部屋を出て行った。
講義が始まってしばらくしたら、今度はあろうことか、
講師の携帯電話が鳴った。
さらに驚いたことに、講師はその電話に出たのだ。
「おいおい、マジか…」
もちろん、会話を長く続けることはさすがにせず、
「あとで掛け直します」と言ってその電話を切り、
「すみません、切っておきますね」と言って
電源を落としたが…。
自分が研修やセミナーの講師をするとき、携帯の電源は
必ず落とす。それが当たり前だと思っているから。
その講座からしばらく経ったある夜。
夜中に、NHKのクローズアップ現代の再放送をやっていた。
テーマはツイッター。
将来起業したいと思っている高校生の男子。
ツイッターで色々な人と出会いました、素晴らしいツールです、
会いたい人と会えるんです、と嬉々として語るその子。
孫正義氏とのツーショット写真も紹介されていた。
ツイッターで知り合ったどっかの会社役員とマーケの担当者だかと
一緒にランチすることになったその子についていく取材カメラ。
ランチの間中も、その子は携帯端末を手放さず、つぶやき続ける様子が
映し出されていた。
「そこまでして、何と繋がっていたいのか…?」
去年、ある外資系企業に打合せに行って通された会議室に
「携帯電話持込禁止、ノートPC持込禁止」という張り紙があった。
(部屋は60分で空けること、ってのもあった)
「これ、ものすごく正しい姿ですね」って話しをした覚えがある。
講座受講にしても、ランチにしても、会議にしても、約束の時間に
複数の人が集まって開始される、ってことは、自分の時間のみならず
そこに参加している自分以外の人の時間も拘束している(し合っている)
ということにはならないか。
会の途中で電話が入ったからと席を立つ人。
食事中に携帯端末を離さない人。
自分以外の、その場に集う人に対して、ものすごく失礼な行為だとは
思わないのか―?
ほんの20年前、携帯電話なんてごく一部の限られた人しか持って
いなかった頃、会議中に電話が入っても、それらをその場で受けることは
当然できなかった。
会議後に自分のデスクに戻り「◎◎さんから電話ありました」という
メモを見て、折り返し電話する、という対応で済んでいたはず。
それなのに今は…
なんて考え方は、古いのでしょうか。