行動を起こすきっかけは、いつもちょっとしたこと

1人暮らしの母(67歳)から電話があった。

母:「Mac Book買うことにしたから、一緒に買いに行って♪」
私:「…はぁっ?!」

実は母の家には私が以前使っていたパソコン(Windows)がある。
ついこの間まで、彼女は1人でいる時に電源を入れられなかった。

「だって爆発したら困るし…」

だからどうしてもパソコンの電源を入れなければならないときは、
まず私に電話をしてきて、その電話を繋いだまま、本体の電源
入れて、モニターの電源入れて、スタートメニューが立ち
上がって…と、彼女が出したい画面が出てくるまで、付き合わ
されるはめになる。

母のパソコンは、今ので2台目。コレの前は妹が学生時代に
使っていたCompaq。
(ちなみにOSはWindows98。何の問題もなく動いてたんだから
たいしたもんだ)

母は外国人に日本語を教える先生をしている。生徒さんたちに
渡す「あいうえお」とか「です・ますの使い方」などのテキストを
エクセルやワードで作っていた時代もあったのに、一通り作り
終わってしまったら、もうパソコンに用はなくなってしまった
らしい。

メールアドレスも持ってはいるが、それをチェックすることは
ない。たまに私が実家に行きチェックすると、古いのがドロドロ
受信されるような状況だった。

ネットやメールをサクサク使っている私や妹を見て、その便利さ
や楽しさは理解しても「私はメールはもう使わない!電話と
ファックスがあれば外界と連絡は取れる!」と言い切っていた
彼女だったが、事件が起きた。

母にとって大事な大事な下の娘(つまり私の妹)が夫の転勤で
海外に行ってしまうことになったのだ。結婚したあとも実家の
すぐそばで暮らしていた妹が、期間もわからない海外暮らしに
突入することになってしまったのだから、母の落ち込みようは
そりゃもうヒドイものだった。

そこでパソコン、である。Skypeという便利なものがあり、複数で
1度に話が出来る。

2者間だったら映像も送受信できるので、テレビ電話だ!妹とも
顔を見ながら話せるし、これで寂しくない!

ということを生徒さんたちから教わったらしい。
生徒さんたちは、家族から離れて日本に来ている人がほとんど
だったので、外国に暮らす家族とメールやSkypeで連絡を取り
合うのがフツーなのだ。

実家の光工事、無線LAN、もっと早いPCの設置、Skypeの
手作りマニュアル、等々、母のPCライフが快適になるよう
こちらも頑張った。

Skypeの練習もずいぶんした。私が実家にノートPCを持ち込み、
母の部屋とリビングとで「映ってる?」「映ってないよ~!」
なんてやりとりもした。

私が自分の家にいるときは、やはり電話してきて、
「今Skypeの練習、いいですか?」

それから電話繋ぎっぱなしでSkypeが繋がるまで待って…。
海外にいる妹とSkypeで話すときも、まずは私に電話してきていた。

そして私に電話してこなくても、妹とやりとりが出来るように
なったのがつい最近。

妹にも「生存確認にもなるから、1日1回はPCの電源入れる
ようにしてみて」と言われたらしい。

で、Mac Bookだ。なぜか?今のPCはデスクトップタイプなので、
動かせない。リビングで過ごすことが多い母は、PCの置いてある
部屋まで行くのが面倒臭いらしい。

2月に一時帰国した妹がMac Bookを持っており、実家のリビング
でサクサクやってたのを見て気に入ったのもあるだろう。

「それにノートだったら爆発しそうになっても窓から
投げ捨てられるじゃない?」

うーん。色々間違ってる気はするけど、本人ノリノリで、
「デジカメも買おうかな」とか言い出した。
「年取ったからこそ、こういうもので頭使ったりしないとね。」
とも。

「こんなに便利なものを知らないまま、使えないままで死ぬのは
もったいない!」って、ネットで調べものしたり、メールで
友人に連絡取ったりすることを、あんなに頑なに拒否していた
その同じ口が言いますか(笑)。

頭で理解するだけでは、人は動かない。本当に必要だと自分で
思えなければ。「離れたところで暮らす娘の顔を見ながら話が
出来る環境が欲しい」という他の人からしたらどーでもいいこと
が、母に「パソコンちゃんとやる!」って決意をさせた。

よし、鉄は熱いうちに打て!だ。日曜に買い物に行こう。

でも母よ。うまく動かないときに、窓から投げ捨てるのは
やめておくれ。

だって飽きたら私にくれる約束でしょ?

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