指揮官の言葉
12月に入り、サッカーJリーグもいよいよ残りあと1試合を残すのみ
となりました。
今年は上位も下位も大混戦で、ご贔屓チームがある方はその
行く末にドキドキしているところなのではないでしょうか。
私のように、特にどこのチームを、ということはなく、ただサッカーが
好き、なサッカーファンには、この混戦ぶりにワクワクしていますが。
先日某サッカー番組に、日本代表のフォワードとして活躍する
玉田選手が出演していました。彼は2006年に現所属チームである
名古屋グランパスに移籍しましたが、あまりいい状態でいたとは
言えず、しばらく日本代表からも離れていました。
今シーズン、その所属チームである名古屋グランパスは、Jリーグ
で選手として大活躍した(私も大好きな)ストイコビッチという人物を
監督として迎えました。
サッカー好きな人であれば、彼がどんな選手であったかよくご存知
だと思いますがとにかく人を魅了して止まない選手だったのです。
上手さ、センス、周りの使い方…
選手が惚れる選手でもありました。アツくなりすぎて、よく退場も
くらってましたが…。
で、玉田選手。今シーズンが始まってすぐの頃に、この新監督から
グラウンドでこんな言葉を伝えられたそうです。
「お前は、Jリーグの選手の中でNo.1だ」と。
「あんなにスゴい人から、そう言ってもらえたことがすごく自信に
なったし、やる気も出た」玉田選手は言います。
今シーズン、名古屋グランパスは優勝争いに加わっており、
玉田選手は日本代表でも3試合連続得点と活躍中。
彼の活躍の源泉が、ピクシー(ストイコビッチの愛称)の言葉だけ
ということは決してないでしょう。けれど指揮官の言葉が与えた
影響は、計り知れないものがあったのではないでしょうか。
きっとピクシーは、玉田選手だけにではなく、他の所属選手に
対しても、こういう言葉を伝えているのでしょう。だから今年の
名古屋グランパスは、強いチームになっている、と言ったら
言い過ぎでしょうか。
「強い組織」を作るための方法論は、語る人によって様々です。
業界差や規模、創業年数、年齢構成などによっても変わって
くるでしょう。
けれど、リーダーがそこに所属する個人をしっかり見て、必要に
応じてその個人に向けた思いをきちっと伝えることで、その人を
やる気にさせ、それが組織力の源となっていく、という構図は、
規模の大小や業界を問わず、共通して言えることですね。
もうひとつ重要なのは、ピクシーが、選手が惚れる選手、憧れ
られる指揮官、周囲にあんなスゴい人と言わしめる実力の持ち主
であり、おそらく選手達のモデルとなっているであろうこと。
思いの強弱の差こそあれ、「あんな風になりたい」と常々思っている
人の言葉は素直に聞けるものですし、「あんな風にはなりたくない」
と思っている人の言葉は、それが褒め言葉であろうと素直に聞けない
ですからね。
人として、コーチとして、「あんな風になりたい」とまで思って
もらえなくても、「あんな風にはなりたくない」とは思われない
ような自分でいたい、と感じた日曜の夜。