サザン活動休止における桑田佳祐のリーダーシップ

音楽が好きです。洋モノ邦モノどちらも聴きますが、圧倒的に
洋モノの方が多いですね。小学生の頃から帰国子女の多い
学校で寮生活をしており、当時一緒だった上級生の影響で、
洋モノに目覚めた、という感じでしょうか。

1番最初にLP(年齢を感じます)を買ったのは小学校4年生の時。
KISSの♪Rock And Roll Overというアルバムでした。
6年生でオリビア・ニュートン ジョンの♪I honesty love youに
涙し、イーグルスの♪Last Resortに心震わされ…という、
なんともマセた子供でありました。

さて、サザン。今年5月に無期限活動休止を発表し、8月の日産
スタジアムでの「真夏の大感謝祭」というツアータイトルの
コンサート(計4日)を以って活動休止に入ったわけですが。
10/11(土)にWOWOWで特別番組が放映されました。

8月のコンサート最終日の模様は、当日生中継で放映されました
が、10月の特番では、活動休止発表からコンサートに至るまでの
リハーサル風景と、コンサート終了後のメンバーへのインタビュー
で構成されたもう1つの番組の放映もありました。

今回のライブに当たってのテーマは、デビュー以来の全てに対する
「感謝」の気持ちであるとメンバー全員が口にしていたこと。
30年続けることができたのは、周りあってのことであるという想いと、
活動休止前の最後のコンサートで、「何を求められているか」
(桑田氏はマンネリの王道を極める、と言っていました)を正確に
分析していたこと。コアなファンは喜ぶかもしれないけど、そう
でもない人には解りにくいかもしれない、でもそのあたりの
足し引きが面白かった…。メンバーそれぞれが、自分の言葉で
このライブに対する想いを語っていました。見終わってふと、
次のようなことを感じたのです。

サザンオールスターズというのは、実は大きな組織で、桑田佳祐は
その組織のトップである、と。サザンのメンバーだけでなく、バンド
のサポートメンバー、照明や映像、舞台装置担当のスタッフ、WOWOW
での放映のためのTVクルー。そういった人たちを束ねているのが
桑田氏である、と。自身もフロントマンとして1番前に出つつ、
選曲やステージ全体の構成を纏め上げていく様は、さながら部下を
束ねる企業トップのようではありませんか。

「会社は社長が思うとおりにしかならない」とは、私がビジネス
コーチングを学んだときの講師の言葉ですが、「サザンは桑田が
思うとおりにしかならない」に置き換えてもぴったりくるなあ、
と感じたのです。桑田氏がいいものを目指せば、サザンのライブは
スゴイモンになる。その桑田氏の想いを、メンバーはじめ、
スタッフも全員理解している。リハーサルでもどんどんアイデア
を出す。でも自分の意見に固執することなく、他のメンバーの
意見にも耳を傾ける。そして、その時点でのベストなものを作り
上げていく。

「本能のまま笑える時間を増やしたい」「演り終わった時後悔し
ないものにしたい」「絶対いいライブにするぞ、と気合が入った」
メンバーそれぞれ使う言葉は違えど、関わる全ての人が、この
ライブを最高なものにしたい、という共通の想い、目標を持って
いる。これって、組織の理想的な姿だな、と。

何もしなければ、トップの考えていることは現場の人間には
伝わりません。トップが自分の意見に固執すれば、現場と温度差
が生じるのは当然です。

自分の考えを伝えつつ、他の意見にも耳を傾ける。最終決定を
下すのはトップの仕事。そして決めたことに対する義務を果たし、
責任を持つ。

もし桑田氏が、ミュージシャン以外の職業に就いていたとして
も、「リーダー」として成功していたのではないでしょうか。

スタッフの1人が言っていた「あんなにお客様のことを考えて
いるバンドはいない」という言葉もとても印象的でした。
一方で桑田氏は、『サザンのファン』という絶対的な味方がいる
ということに対して「生暖かいところにいたら、居心地はいい
けど、やっぱりNEXTに行かないと…」と言っています。
「売れてりゃそれでいい」ではなく、30年で区切りをつけて、
次に向かう。これって、ビジネスを長い目で見たときに、目先の
利益を一旦脇に置いておき、次の一手を考える、ということに
繋がるのではないか―。今回の番組は、ビジネスをいい形で
継続させていくためのヒントがいっぱいあったような気がします。
もちろんライブそのものも、これまでのサザンのベストライブ!
だったと思います。

いい意味でファンを裏切って、新生サザンとしての活動を
再開する…。そんな日を心待ちにしています。

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